班長殿、酔っ払って書いたりしてるものでついつい調子にのりやんした

愛・世界博 宇宙電波館(その38)


 私の硬直した一部分は、彼女の中に飲み込まれていった。

 そして裸の事務員は私の上で激しく上下運動を始め、

「ああ、ああ、こんな失礼な人って知らない。ああ、いい。ああ、気持ちいい。私を全くバカにしています。失礼しちゃうわ。ああ、はあー、も、もう許しませんから、絶対許しませんから。ああああ」

 彼女は怒っているのだか、気持ちいいのだかわからないが、かなり興奮して、彼女が抱いている怒りを私にぶつけるかのように余計に高速で激しく動き続けた。そして私は例のように感覚が段々と薄れていき、私の一部分が硬度を失う前に、彼女は突然、ガクガクとぎこちない動きに変わってバタンと私に覆い被さった。

 彼女は私の上で痙攣に似た動きをしてから、ハアハアと肩で息をしながら脱力してしまった。結合している彼女の中はまだピクピクと動いている。擦れ合う股間同士は失禁したかのように濡れている。私の一部分は間もなく硬度を失い、ポロリと抜けた。

 彼女は満足したらしく、暫く私の上で余韻に浸ったあと、近くに私が置いた小さいタオルでお腹だけを隠しながら立ち上がった。私は彼女の重量が無くなって急に体が軽くなった。そして私も立ち上がりベッドの方を見ると大きなシミがついている。憑き物が落ちたように穏やかになった彼女はベッドを見て言った。

「おねしょみたいになっちゃいましたね。どうせ家のフトンじゃないから、ほっとけば誰かが洗ってくれますよね。私、腰が抜けちゃいそうです。今日、ちゃんと歩けるかしら。じゃシャワー浴びてきます」

 事務員はお腹以外はまるだしのまま、バスルームに入って行った。私は携帯電話の液晶画面を広げ、時間を見た。もう七時前だ。集合時間は八時で、ホテルから集合場所までは十分もかからないと思うので、朝食を食べる時間ぐらいはあるだろう。

 私もシャワーを浴びたいのだが、まだ彼女は鼻歌を歌いながら、シャワーを浴びている。シャワーの音が止まってもなかなか出てこないので、

「ねえ、まだかな」

 と外から声をかけると、

「いまお化粧中なんです。ちょっと待ってください」

 と言ったので、私はまた暫く待っていたが、いっこうに出てくる気配がない。私は業を煮やして、強引にバスルームへ入っていった。

「悪いが勝手に入らせてもらうよ」

 と言ってバスルームのドアを開けると、裸のままの彼女がこちらを向いて、

「もう一回ですか? いいですけど、集合時間に間に合わなくなっちゃいますよ。でもどうせみんな時間通りに来やしませんから、少しぐらい遅れてもいいですよね。でもここじゃ出来ませんよ」

 と言って私の手を引っ張ってベッドの方に向かおうとするので、

「違うんだ。シャワーを浴びたいだけなんだ。本当に集合時間に遅れちゃうよ」

 と彼女に言った。

「えっ? しないんですか? つまんないです。あーあ、でもしょうがないですね。結婚しているんだったら、奥さんに悪いですから諦めます。今日は別行動にしたほうがいいですね。どうぞシャワーでもなんでも浴びてください」

 事務員は突き放すように言って私の手を離した。私はバスルームに再度入り、彼女のおもちゃにされ寂しくしぼんでいる私の一部分をバスルームに備え付けの液体石鹸を使用して入念に洗った。

 結局、私たちはホテルでの朝食を食べずに、チェックアウトすることになってしまった。

 私たちは一緒にホテルを出た。

 天気の良いさわやかな朝なのだが、瞼の裏に事務員の裸体が浮かんできて、明るい町中を彼女が裸で私の横を歩いているという妄想をしてしまった。彼女と並んで歩くことに罪悪感を覚え、私はわざとゆっくり歩いて彼女を先に行かせようとした。暫くすると彼女と十メートルぐらいの差がついてきたが、彼女は突然止まり、私の方を振り向いて、

「どうしたんですか? 早く行かないと集合時間に間に合いませんよ」

 と言ったが、私は、

「僕は少しゆっくり歩きたいんだ、先に行っててくれよ」

 と彼女に先に行くよう促した。事務員は素っ気なく、

「あ、そうですか。じゃ先に行きます」

 と言って、急ぎ足で前方の雑踏に消えていった。私に妻子がいるとわかったので心なしか態度がよそよそしくなったみたいだ。私にとっても彼女にとってもお互いに親密な関係でいることは好ましくない。私はトボトボと集合場所である駅の改札に向かって歩いた。


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