愛・世界博 宇宙電波館(その35)


 少し触れたぐらいでは彼女は気が付かない。今度は彼女の股間の毛が生えている部分に触れてみた。やはり彼女は気づかない。湯冷めして風邪をひいては困るので私はバスルームに帰って、小さいタオルで体の水分を拭き取った。

 私が再度、事務員に向かって歩いていると彼女は何か寝言を言いながら横向きになった。そして私はそっと彼女の背後からベッドの上に横になった。私は気づかれないように、体をゆっくりと接触させていった。彼女の尻に私の膨張した下半身の一部をくっつけてみた。事務員は寝たまま、

「うーん」

 と唸った。私はすぐに体を離した。やはり、こんなことをしていてはいけない。しかしこの状況で何もするなと言われても、私の中の獣が騒いでいるので、落ち着いていられないのだ。しかも彼女はわざとこんな格好をしているのではなく、たまたま裸のまま廊下に出て、ドアが閉まって、しかたなく私の部屋に来ているにすぎない。

  双方同意の上での行為でなければ、私がしようとしていた行為は、セクハラで訴えられても、仕方がない。私の下半身の一部は硬くなったままだが、変な思いを振り切って、替えの下着を鞄から出した。

 私がパンツを穿こうとしたら、突然、彼女の目が覚め、こちらを向いた。そして頭を持ち上げ、パンツを穿こうとしている私を見て、

「ヤダ、ウソ、私に何かしましたか」

 と言った。私はドキッとして彼女のほうを見た。少し触ったが、それ以上のことは何もしていないので、私は彼女に言った。

「何もしていないよ。お風呂に入ってきただけだよ。誤解しないでくれよ」

 事務員はむくれた表情をして、

 「なんで何もしないんですか。こんな格好をしていると、何かしたくなるのがあたりまえじゃないですか。私、男の人が考えていることがわかりません。私もお風呂に入ってきますから、寝ないで待っててください。パンツなんか穿かなくっていいですから」

 と言って、自分が下敷きにしていたバスタオルを持って、バスルームにスタスタと歩いていった。私は呆然として膝の所まではきかけのパンツをそのままにして、ベッドに座った。バスルームから鼻歌混じりにシャワーの音が聞こえてくる。これから起こりうるであろう事態に対して、それを回避する方法を考えなければいけない筈なのに、すでに頭の中では、妄想という予行演習が始まっている。

 バスタオルを体に巻いた事務員が頭を小さいタオルで拭きながらバスルームから出てきた。彼女は私の隣に座り、バスタオルを取った。そして私の体に両手を回し、濡れた頭を私の胸にくっつけた。濡れた髪はヒヤリとして、少し鳥肌が立った。私の胸の鼓動が早くなっている。

 彼女は顔を持ち上げ、目を瞑った。どう見ても口付けを期待している表情だ。私が顔を近づけると彼女は突然目を開き、

「イヤ、でも」

 と顔を横に向けた。私は彼女の肩を抱き、ゆっくりと彼女の体をベッドに横たえた。私はそっと唇を重ねた。彼女は目を閉じたまま私の唇を受け入れた。彼女は最初、口を固くつぐんでいたが、私が何度か唇を触れるうちに段々に彼女の体が脱力していき、唇が緩んだ。

   それからは堰を切ったように舌を絡み合わせた。

 私の胸と彼女の張りのある胸が重なりお互いの体温をじかに感じた。私は彼女の体を強く抱き、頬を接触させて彼女の息遣いを聞いた。私の下半身の一部は既に臨戦態勢になっている。私は彼女の股間を手で触り、挿入可能かどうか確かめてみた。触り始めた時はまだ乾いていたが、指で刺激していくうちにじわりと湿り気を帯び、私の指に液体が付着した。

   このまま私は彼女の中に入っていってもいいのだろうか。旅行前はこのような事態をまったく想像していなかったので、避妊具等は持ち合わせていない。


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