愛・世界博 宇宙電波館(その11)


  この間、家族と来たときの記憶をたどって宇宙電波館の方面に向かったが、なかなかあの白い建物が見当たらない。会場案内のパンフレットを貰って、探してみたがそんなパビリオンは書いていない。社員旅行の行き先が万博になった時点で宇宙電波館がどこにあるのかコンビニに置いてある愛・世界博の公式ガイドブックを立ち読みしたが、不思議と載っていなかった。私は会場に行けば分るだろうと思っていた。


 もともと万博会場に無い建物だったのだろうか。しかし実際に私は入館しているし、あの建物の印象がはっきりと残っているので私の思い過ごしではないはずだ。ただ私が方向音痴なだけかもしれない。あの建物があると思われる場所の近辺をさまよった。今は九月といってもまだ日中の日差しはきつい。どこでもいいから屋根があって、すいているパビリオンだったらどこでもいいから入りたいと思ったら、見覚えがある建物が視界に入った。宇宙電波館だ。


 この前来たときは、宇宙電波の印象が強すぎて、てっきりそのパビリオンは「宇宙電波館」という名前だと思い込んでいたが、本当は「カクギクギスメニア公国宇宙科学館」という舌を噛みそうな名前のパビリオンだった。改めてパンフレットを見ると、確かに「カクギクギスメニア公国宇宙科学館」の名前があった。しかし、大きく建物の写真を載せるのはかなりのスポンサー料を要求されるのであろう、この「カクギクギスメニア公国宇宙科学館」は他の企業系のパビリオンと違って、「カクギクギスメニア公国宇宙科学館」という名前だけの紹介しかなかった。どおりで「カクギクギスメニア公国宇宙科学館」の場所が分らないはずだ。しかもコンビニで立ち読みしたガイドブックにも「カクギクギスメニア公国宇宙科学館」の写真は載っていなかったので、見落としたのであろう。


「カクギクギスメニア公国宇宙科学館」では長くて読みにくいと思われるので、やはりここから先も通称「宇宙電波館」として呼ぶことにします。


  私が宇宙電波館の入り口まで来たとき、私の肩をトントンと叩いて呼び止める者がいた。


「気持ち悪い建物ですね。多分こんなところに入っても楽しくないですよ」


  あの女子事務員だった。


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