愛・世界博 宇宙電波館(その7)


  万博の会期中にホテルの予約を取るのは非常に困難だった。キャンセルがあったホテルを次々と予約したものだから、社員はそれぞれ色んなホテルに泊まることになった。多少文句は出たものの、社長と女子社員から順番に希望のホテルを割り振って、結局、幹事の私が一番貧相なビジネスホテルに泊まることにして決着した。


  旅費はみんなで割り勘にするということにしたが、ホテルのランクがそれぞれ違いすぎるので女子社員以外は不公平だという意見が出た。社長が責任を取り今年に限り会社の経費で旅行費用を全額負担して、今年の旅行がよかったら来年から社員旅行を行うために積み立て貯金をしょうということになった。


   結局、会社が休みの土日で一泊二日の社員旅行になった。私の希望通り、万博に着いたらすぐに自由時間にして昼飯は各自好きなものを食べ、夕食だけは宴会場を押さえてあるので夕方に集合して団体行動をとり、宴会がすむと各自割り当てのホテルに帰って休んで、また翌日の朝集合して万博会場に行きすぐに自由時間にして夕方新幹線で帰るという計画だ。これでまたあの宇宙電波を堪能することができるぞ。


   今まで旅行に行っていないので、みんな楽しみにしているようだ。社長をはじめ社員やアルバイトに至るまで全員が出席することになった。といっても九名だが。たいていは土壇場で欠席するやつが絶対いるのだが、キャンセル料は自己負担ということにしているので、奇跡的に朝の東京駅には全員が集合した。大人の遠足かと思えるぐらい朝からみんなテンションが高い。こいつら新幹線に乗ったことないのか。本当に旅行というものに飢えているようだ。新幹線を珍しそうに見て騒いでいる。男子社員は駅の売店でビールとつまみを買い込み、女子社員はサンドイッチや弁当を買って新幹線に乗り込んだ。いよいよ万博に向けて出発だ。
  私は指定席の特急券を確認して席に着いた。搭乗前に乗車券とホテルの予約券を自発的に配ることを買って出た女子事務員がなぜか私の隣に座った。

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