愛・世界博 宇宙電波館(その5)


  帰りの新幹線の中で駅弁を食べながらあの薄暗い宇宙電波館を思い出していた。なぜあんな施設が万国博覧会にあるのか不思議だ。よく許可がでたな。運営側の人間はあんな部屋があるなんて気付いていないのだろうか。


  家に帰って、妻と子供はひどく疲れた様子で、風呂にも入らず寝てしまった。私も明日、仕事があるので寝ようとしたが、目の奥にあの「宇宙電波照射中」の点滅灯が焼き付いていてなかなか眠れない。疲れているときは余計に目が冴えることがあるが、今がその状態だ。

  そしてあの感覚を思い出すと余計に興奮してしまった。  私は妻が寝ている所へ潜り込んで揺すってみたが起きようとしない。もう少し強めに揺すると妻は寝言で、

「やめんかコラ、どつくぞドアホ」

  関東出身の妻が普段では絶対しゃべらない大阪弁を使った。妻は普段からお笑い番組が好きでよく見ているので漫才の夢でも見ているのだろう。私もびっくりしたが子供も驚き、ビクリとしてパチリと眼を開け、こちらを見て立ち上がり部屋の外へスタスタと歩いていき、トイレを済ませて帰ってきて、布団に入ってまた寝た。 私は諦めて目をつむるといつの間にか寝てしまった。

  翌日の夜はまだ私は疲れが残っていたので会社から帰ると早めに布団に入った。子供が眠ったころ今度は妻のほうからこちらに寄ってきた。私は寝ていたのだが下半身が先に反応してしまった。私は本格的に目を覚まし、妻の要求に応えるべく激しく動いた。しかしいくら動いても射精には至らない。それどころか途中で段々と萎れてくるではないか。妻は心配そうにこちらを見た。私は言った。

   「すまない、ちょっと疲れているみたいだ」

  本当は疲れていることが理由ではなかった。あの宇宙電波館の体験コーナーでの圧倒的快感を味わってしまった今、ほかのどんな行為も物足りなくなってしまったのだ。その日を境にして妻との行為によって射精することが無くなってしまった。そして次第に回数も減ってしまった。



その4へもどる  つづく
電波館topへもどる
  © 2005 田中スコップ 路上のゴム手
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送