一言
タイムマシンについて 2007.08.27

 もしもタイムマシンがあったとしたら現在の自分を変えられるのでしょうか。

 過去に戻って昔の自分に忠告したい事は山ほどあるのですが、もともと安易な性格でたいした人格でもない私が言う事など過去の私が素直に聞くとは思えません。しかも現在の私でもこれから先どうなるのか分からないので現在の自分の忠告が正しいとは限りません。

 そうなのです。未来はわからないのです。現在から少し先では突然心臓が止まっている自分がいるかもしれませんし反対に何かの拍子で大金を手にしている自分がいるかもしれないのです。

 近い未来であればある程度の予測はつくものの不測の事態というのは予期できません。もしかすると過去に不測の事態が起こった場合と何事も無かった場合で違っている現在が二つ存在しているのかもしれません。例えば母親の胎内で受精するかしていないかで現在自分がいない世界があったり、ニュートンが万有引力や力学の法則を発見しないまま技術的に未熟な社会があったりするのではないでしょうか。ほんの数秒の偶然の差で違う世界になっているかもしれないのです。

 そう考えると過去から現在まで無限の偶然でできた世界が無限に存在しているかもしれません。もしタイムマシンがあって過去に戻る事ができても、それは過去に戻った自分がいる世界を一つ増やしただけです。その時にいた過去の自分にいくら説教しても現在の自分は過去に未来の自分から説教されていないため変わってはいません。

 そして自分がタイムマシンに乗って過去に行けばその時から自分が消息不明の世界ができてしまいます。一度過去に戻り再び現在に戻る場合、無限にある偶然の道筋を正確に辿って同じ時間の同じ世界に帰ってこないと自分がタイムマシンに乗った時点から派生するいくつもの自分がいない世界ができてしまいます。

 自分さえよければ派生した世界の一つに帰れば何の疑問もなく日常生活が送れると思います。しかしそれでは気づかないうちに自分がいない世界がいくつもできているため、それらの世界で私の微々たる収入を当てにしている家族が困ってしまいます。いやもしかすると厄介払いができて喜ぶかもしれませんが。

 タイムマシンで過去に行こうとした場合、どうやったら自分がいない世界を作らずに済むかと考えてみました。

 まず過去に行こうと思ってタイムマシンを目の前にした時点でじっと過去に行った自分が帰るのを待ちます。そして過去から自分が帰ってきた時点で交代でタイムマシンに乗り込み過去に行きます。反対に過去から現在に帰る時は自分がタイムマシンで過去に行った時間より少し前に帰るようにします。

 ここで気をつけなければいけないのは、もし気が変わって過去に行くのをやめてしまうと過去からもう一人の自分が帰ってきてしまい、その時点で自分が二人の世界ができてしまいます。二人になったので仕事を交代で出勤すればいいのでしょうが、前日の様子が分からないため会社の人とはすぐに言った言わないでトラブルが発生する事が必至です。それに食事が倍になっても給料が一人分であるのであまり豊かな生活は送れません。

 自分が二人になり片方が働き、もう片方が何もしないで暇つぶしのために遊んでいるとお金が余分にかかります。どうしても日によって労働量が多い少ないができてくるので、お互い自分のほうがしんどい仕事をしていると片方の自分に文句を言って喧嘩になるかもしれません。きっと自分の悪いところが客観的に見えてきてもう一人の自分が嫌いになるに決っています。

 それにいくら同一人物だといっても体は別々なので長い時間が経過すると徐々に体形に差が出てきてごまかしきれなくなるかもしれません。

 話が脱線しましたが、タイムマシンに乗って過去の自分に忠告していまの自分を変えようとしても無駄なのです。忠告を受けた過去の自分はたしかにそこから事態が好転するかもしれません。事態が好転した過去からまた世界が派生するだけなので現在の自分はなんら変わった事がないのです。無限に存在する各時間にいる自分の一人に何か言ったところで現在の自分がいる世界は結局変わりはしないと思います。

 タイムマシンがあったとしても今の自分を変えるには結局今から変えていくしかないのです。結局、便利な道具をたくさん持っているネコ型ロボットを過去に送り込んだとしても今の自分にとっては全く意味がありません。

 

 © 2007 田中スコップ 路上のゴム手
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