一言
人差し指と薬指 2006.10.22

 私はただ今この文章を執筆するためキーボードを叩いています。自分が打っているのをよく観察してみますと、薬指の縄張りに中指が時として侵入しています。さらに人差し指も遠征してくるので薬指の出番がさらに減ってしまいます。

 私はブラインドでキーボードを打てないので文章を書くときは常にキーボードを見ています。勢いに乗って打っていると途中の打ち間違いに気づかず、画面に目を移したときに意味不明な文字の羅列になっていることがよくあります。

 最初からちゃんとした打ち方を練習していればもっと文章を速く打てるようになっていたかもしれません。私の場合、両手の人差し指と中指さえあればなんとか文章が打てます。そういうわけで私は薬指を使うのが得意ではありません。

 薬指を使って薬を混ぜたり溶かしたりしたのが薬指の語源だそうですが、私は薬指を使用してそういった作業をした記憶はございません。薬を水に溶かす際、指で混ぜるのはあまりにも不衛生な気がします。昔の薬剤師さんは指で混ぜていたのでしょうか。軟膏等の塗り薬を塗るのなら指を使っても不自然ではないような気がします。しかし軟膏を塗るのに薬指は使いそうにありません。

 子供の頃に風邪をひき、病院で水に溶かして飲むタイプの甘い風邪薬を貰った記憶があります。その薬を飲む際に近くに適当な棒状の物が無く、しかたなくコップの中に指を入れてかき混ぜました。

 もちろん使った指は人差し指です。薬を混ぜるのだから薬指を使わないといけないのだろうかと少しは考えたのですが、薬指を一本だけ立てた状態でコップの中に突っ込んでかき混ぜるのは少し難しいです。指の筋が攣りそうです。やはり使い慣れた人差し指を使うほうが簡単です。しかしこれでは薬指の意味が無いのではないでしょうか。

 なぜ薬を混ぜるのに適していない指を薬指と称するようになったのでしょうか。それはやはり人差し指が汎用性に優れているため様々な物を触って一番汚れている指だからだと思います。逆に薬指はあまり使用しないため比較的に汚れていない指だと解釈されているいるからではないでしょうか。しかしどちらの指を使って薬を混ぜるとしても、手を丁寧に洗ってから作業をしないとバイキンが混ざってしまいそうです。

 
呼吸する際に吸い込まれる空気中の浮遊物を鼻毛が吸着し、鼻の奥から分泌する液体により体外に排出する際、水分が失われて粘着質の物体になったものはなかなか自然に出てきてくれません。放っておいたら鼻が詰まって呼吸に支障が出てしまうかもしれないので、取り除いてやる必要があります。

 耳には耳掻き、口には歯ブラシという清掃用の器具が市販されているのに、鼻掻きや鼻ブラシが売られていないのはどうしてでしょうか。鼻毛切りはありますが、それは身だしなみ用の器具で鼻の中のゴミを取るものではありません。

 仮にスーパーのレジの横に髭剃りや乾電池とともに鼻掻きが売られてたとします。それを手に取って購入する人はあまりいないのではないかと思います。鼻掻きにはあまり必要性を感じられません。

 なぜかというと、鼻の穴には指が入るからです。

 耳のように穴自体が頭蓋骨のくぼみにあり、さほど伸縮性がなく、指の外径よりはかなり狭いので指が穴の中に入りません。そのためどうしても耳掻きが必要です。

 しかし鼻の穴の場合はその伸縮性により穴の径より太い指を入れることが可能です。しかも鼻の中は穴の入り口よりは内部が広く、中で指を回転させたり挿入角度を変えることができます。作業性に優れているので中の粘着質の物体を指を使用して容易に排除する事ができます。

 しかしたまに排除困難な場合もあり、力を入れ過ぎて血が出てしまう事もあります。その場合でも鼻の穴の十分な伸縮性により、少し大きめにちり紙を丸めて差し込んでおけば抜けて落下するという事はありません。

 私の場合、鼻を掃除するのに使用する指はやはり人差し指です。小指の方が細くて鼻の中での自由度が高そうですが指先の感覚が鈍く、いまひとつイメージ通りの動きができません。やはり私にとっては人差し指のほうが鼻の掃除に適していると感じられます。

 そんな汚れ役の人差し指で薬を混ぜて飲んだのでは、たとえよく洗っていたとしても、薬の味以外に塩の風味が混ざってしまいそうです。昔の人は指の用途としてあまりにも目立たない薬指に名前を付ける際に、なにか特徴を持たせようとして苦肉の策で薬指と名づけたのではないでしょうか。別に薬指を使用しなくても人差し指で足りるのに、その薬指という名前に踊らされて薬を扱うには薬指でなくてはいけないと固定観念として植え付けられている可能性もあります。

 私は医療機関に従事しているわけではないので想像するしかないのですが、もしかすると薬局の奥のほうで薬の攪拌に薬指をフル稼働している方がいるのかもしれません。ちょっと嫌です。



 © 2006 田中スコップ
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