一言
うどん屋にて 2006.09.25
 
 昼飯時、駅の地下街を歩いておりました。

 腹も減っていたので適当にどこかで食事でもするかと、食べるところを探して歩いていました。地下街には色々な店があり、迷ってしまいます。しかも私のようなオッサンが一人で歩いているので、女性の熱気ムンムンとしたおしゃれなカフェやイタリアレストランに入るのは気がひけます。

 どこの店に入ろうがこちらの勝手ですが、自分がオッサンだという自覚からか、どうしても一人で入って食事をしてもいい店と悪い店という境界線を引いてしまいます。しかもその時の私にとって昼飯というのは生体を維持するための栄養を補給する行為に過ぎず、豪華な食事は必要ありません。結局、ソバ屋かラーメン屋といった麺類の店を探し歩いてしまいました。

 テレビのCMで流れている有名なラーメン屋には行列が出来ています。その店は前に一度入ったことがあり、私の好みの味ではなかったので行列に並んでまで食べようとは思いませんでした。また他の店を探しておりますと一軒のうどん屋を発見しました。

 その店にはまだ空席があったので迷うことなくそのうどん屋に入りました。私はメニューを見て「釜あげうどん」か「ザルうどん」か少し迷いました。結局天ぷらも食べたかったので「天ぷら釜あげうどん」略して「天釜」うどんを注文する事にしました。店員が注文を取りにきたので、

「天釜うどんください」

 と言うと、店員は

「少々お時間がかかりますがよろしいでしょうか」

 と時間がかかることについて承諾を得ようとしたので、すかさず私は、

「じゃ、天ザルください」

 と注文を変更しました。しかし店員は、

「天ザルも少々お時間をいただく事になりますがよろしいでしょうか」

 と再度同じような事を言うので私は、

「どちらか早いほうでいいです」

 と時間優先で注文しました。すると店員は、

「どちらも天プラにお時間をいただく事になります」

 言ったので、結局どっちも同じかと思い、私は当初の予定通り、

「それじゃ天釜うどん」

 と注文しました。さらに店員は、

「ただいま大盛りをサービスしておりますが、いかがですか」

 と機械的に質問してきたので私は大盛りを食う気分でもなかったので、

「普通でいいです」

 と答えて「天釜うどん」の注文が終了いたしました。

 店員が持って来た普通盛りの「天釜うどん」はけっこう量が多く、私は店員のサービスという甘い誘惑の言葉に負けて大盛りを頼まなくて良かったと胸をなでおろしたのでした。

 私がうどんを食っていると隣に七十歳ぐらいの高齢のおじさんがやってきてビールとうどんを注文していました。その人は店員が言う大盛りサービスを中途半端に聞き流してしまい。ついザルの大盛りを注文してしまいました。

 持って来たザルうどんの量に驚き、その人はしきりに、

「謀られた……、謀られた……」

 とブツブツと小さな声で独り言を言っていました。そのうち私は「天釜うどん」を食べ終わり、先に出たのですが、はたしてあのおじさんは全部食ったのでしょうか。気になるところです。どうせサービスなのだから残してもいいんじゃないの、無理するなよと思いました。

 それにしても天ぷらをつけたことにより意に反して、たかが昼食なのに結構な値段(1000円)になった事を思い出し、これを書きながら後悔しきりです。

 
 © 2006 田中スコップ
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