一言
回転グルグルずしずし 2006.08.13
 
 私は生の魚があまり好きではありません。回転寿司屋に行って食うものといえば、焼肉が乗っかっているやつとかウナギとか加熱処理してある寿司ネタが乗っかっているのをよく食べます。色が均一に赤くいマグロと、近くで回っている赤っぽい色のゼリーと見比べてしまうと気持ち悪くて食えません。

 どうして生魚とケーキやゼリーといったスイーツといっしょに回すのでしょうか。これを読んでいる皆さんは回転寿司で食欲をなくす食材の組み合わせが回っているのに平気ですか?

 この間寿司を食おうと回転寿司屋に行き、カウンターの端っこの席に座っておりました。その席のすぐ近くで店員さんが寿司を握っています。店員さんが私の目の前に次々と寿司を握って載せていくのを見るのは面白いです。私は穏やかな猛禽が獲物を物色するように流れてくる寿司を眺めています。

 しかし私が回っている寿司を取ろうとしたときに店員さんが寿司を回るテーブルに置こうとするものだから、つい出そうとしていた手を引っ込めてしまいました。無残にも私の目当ての寿司が行ってしまいました。無理やり手を伸ばせば取れないこともなかったのですが、隣の陣地に進入するのは失礼であり、もしも隣のお客さんも私が取ろうとしていた寿司を狙っていたのなら、私が手を伸ばして寿司を取ってしまうと険悪な雰囲気になること必至です。

 私は流れる寿司の最上流にいたので下流の人たちには悪いが、暫くの間私の好きなものから取らせてもらいました。しかし先ほど見送ってしまった寿司がどうしても食いたくなり目の前で握っている店員さんに注文しました。

「あのーすいません。エビください」

 当然生の甘エビとかではなく、加熱して開きにしてあるエビです。店員さんは元気よく、

「はい、エビ一枚」

 と返事してくれます。そして軍艦巻きを作成している手を止めてエビを握ってくれます。しかしその間に先ほどのエビが一周回ってきて私の目の前を通り過ぎて行こうとしています。エビが食いたいのにすでに注文しているので目の前の皿を取ることが出来ません。しょうがないので待つしかありません。店員さんは狭いカウンターの隙間からエビの握りを差し出してくれます。

 そして私は時々勘違いをしてしまいます。前で握っている店員さんが他のお客さんの注文を聞いて今のポジションを一時離れてまた戻ってきたときに、せっせとまた寿司を握り始めて、私の前のカウンターに載せようとしていました。

 私はそれを自分に握ってくれたのではないかと勘違いして、手を出しそうになりました。しかしよく考えてみると注文もしていないのに寿司が来るわけがないのです。オッサン違うぞコノヤロと心の中で思いましたが、店員さんは私に渡さずに回るカウンターに寿司を置いて次の寿司を握り始めました。手を出さなくて良かったと思いました。

 注文しようと思っていた寿司をたまたま店員さんが握って私の前に置いてしまうこともあります。私はその寿司を食べたかったのですがすぐに手を出すと私の負けのような気がして、一周回ってくるのを待ってみたりします。そんなときにかぎってその寿司は誰かに食われているので私のところに戻ってくることはありません。仕方なく特に食いたいわけでもない納豆の軍艦巻きを取って食べたりします。

 それにしても寿司屋でケーキやデザートが回るのならば、チョコレートや煎餅、はたまた文庫本とか文房具、アクセサリーのような非食品が回ってもいいのではないかと思います。

 例えばくんずほぐれつの裸の二人の写真が入っている袋の一部分だけがさりげなく破れていてとても気になる袋が皿に載って回っていたとします。そんなものは寿司屋で回すには生々しすぎます。他の客が見ていない隙にその写真が載っている皿を取り、テーブルの下でこっそりと開けてみたらプロレスの写真だったというのも面白いかもしれません。

 恥ずかしくて誰も手を出さないアイドルの水着写真とか雑誌の袋とじの部分とかが載っている皿を気にしながら寿司を食うというのもなかなかいいです。

 しかしそんな店は回転寿司屋ではなく回転雑貨屋ですね。今度回転寿司屋に行ったらケーキとジュース(もしあればホットコーヒー)を注文して、喫茶店代わりにしてみてもいいかもしれません。生の魚が載っている寿司を見ながらケーキだけを食ってみるのです。

 こんなことを考えてもやはり寿司屋でケーキを食う気になれません。


 © 2006 田中スコップ
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